雨の運び屋

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   見つめ合って離れない俺達。 「先輩、大好きですよ」 「わたしも」 「「大好きです」」  子どもみたいに二人の声が重なった。  それが可笑しくてくすっと小さい笑みが零れる。 「あ。どうやら雨止んだみたいですね」  雨が降った後に出来た水溜まりに、空の笑顔が移し出されていた。 「そりゃ、かなり残念」  だって彼女との甘い一時もこれで終了だ。後は帰宅しか残っていない。 「つ、続きはまた今度にしましょうね」 「あなたがそういう事を言わないでくださいよ。嬉しいですけど」 「うふふ、はい」 「じゃ、あなただけの『運び屋』。続けますか」 「はい! よろしくお願いします」  自転車にまたがり、ペダルに足を乗せる。背中にずっしりと重い大切な荷物を乗っけて。  俺はまだ完全には晴れきっていない雨の運び屋が残っている空を見上げる。  これから乗り越えなくちゃいけない事が雲のように大量だが、それでもとにかく止まない雨はない訳で。  俺は青空を目指してまた走り出した。  
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