11 二人の距離《ディスタンス》

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あたしはそう思うと、涙が溢れそうだった。でも今は必死に堪えて、あたしたちは取調室を出て行った。 彼の案内でエレベーターで7階まで上がると、ドアが開いた途端彼はエレベーターの外の左右を確認し、 「オッケー!おいで!!」 と彼は言って駆け出し、あたしもその後に続いた。エレベーターのちょうど真裏あたり。そこの非常口に出て、非常階段で一つ上の階、8階に上がると、あたしは彼の背中に問い掛けた。 「あのエレベーター、一番上の8階行きだったのに、なんでわざわざ階段で?」 あたしがそう尋ねると、彼は少し振り向いて、 「8階にあのまま上がったら、ドアが開いた途端ガードマンにつまみ出されるよ。この階段なら見つかりにくいし、相手の目をごまかせる。あのエレベーターはね、ちょっとしたセンサーが仕掛けられてるから、7階から上のボタンを押すと、セキュリティ強化されて、IDチェックされるんだ」 と言うと、あたしは納得して口笛を吹いた。 「すげぇ、セキュリティ。さすが!」 「いや、そこ、感心しなくても…」 彼はあたしの言葉に苦笑いしている。そうして8階の重そうなドアを少しだけ開けて、あたしと彼は廊下を見渡した。細いドアがちょうど真ん中あたりの壁にあり、彼は向こう側に見える体格の大きそうな背中を指差して、 「あれがここの守り神。かなり最強なガードマン。俺が今からまた向こうに回って、あいつと話してくるから、その隙に瑠生は会議室に走るんだ。合図をするまで動くんじゃないぞ。あいつがセキュリティ強化のスイッチを押したら、すぐに8階は閉鎖されるから」
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