5 復讐のLiberty

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俺の嘆く言葉に、電話越しの公安の声は途絶え、香織さんも遥も、目を丸くして固まっている。 遥は、涙ぐんでいた。 「俺は瑠生を助けに行く。その代わり日本には二度と戻らない。ニューヨークの方にもそう伝えてくれ!」 そう言って電話を切ると、遥は俺に歩み寄り、香織さんもそんな遥の肩を抱いた。 「匠さん。遥をつかせます。遥なら運転手にもなれるし、ホテルや施設に名前を使っても奴らにはバレない。それと、向こうで一人、協力者をつけさせます。その接触には遥を通して連絡させるから」 と香織さんが言うと、俺は香織さんを睨み付けた。 「俺一人でいい。これ以上誰も巻き込みたくない」 「いいえ。協力者は多い方がいいの。あなたにもしものことがあったら、誰が瑠生を救えるの?あと、別にもう一人、あなたたちに協力したいっていう人がいる。遥から聞いて、確かに彼が必要だわ」 と香織さんが言うと、俺はさらに眉をひそめて香織さんを見つめた。 「後で航空券を届けさせます。幸運を祈るわ。あなたにも…瑠生にも…!」
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