5 復讐のLiberty

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香織さんはそう言って微笑むと、俺は小さく頷いて、お互いに握手を交わした。 これが、最後…。 こうして俺と香織さんが会うことは、二度とないだろう。 この一瞬で、俺はそんな予感がよぎった。 多分、香織さんも…………。 * その日の夕方には、メッセンジャーからチケットを受け取り、俺は翌日の早朝便でニューヨークに向かうことになった。 そして夜中、部屋のインターホンがけたたましく鳴った。俺は玄関のドアを開けると、そこに立つ彼を見て驚いていた。 彼が、遥と一緒に、協力したいと申請した人物。 「俺も行きます!駄目だと言っても無駄です!絶対行きますからねッ」 ヒロだ。 俺はヒロを無視してドアを閉めようとするが、ヒロはドアを押さえた。 「匠さんにもしものことがあったら、誰が瑠生を連れて帰れるんですか!?」 そのヒロの言葉に、俺は息を飲んだ。 「なんて言われようと俺も行きます。瑠生を愛しているんです!彼女を失いたくない。たとえ……匠さんが瑠生を愛していようとも!」 ヒロがそう言うと、俺はまた驚いてヒロを見つめた。 「…勝手にしろ!」 俺はそう言ってヒロに背を向けて部屋に戻ると、ヒロは唇を噛み締めて部屋に入ってきた。
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