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「きっと、美貴は才能がなくなった俺を、見切る時が来ると思う。俺も、そんな自分自身を見せたくないと思うよ。でも瑠生とは、音楽がなくても、同じ目線で歩いて行けると思うんだ。それだけ、瑠生の存在が、俺にとって大きくて、かけがえのないものなんだ。美貴。ごめん。…でも、またこうして会えて良かった。ありがとう。…さよなら」
ヒロの言葉は、優しくて温かくて、美貴にとってはなおさら悲しかった。ヒロのその表情は、今まで見たこともないくらい、素直で、それでもキラキラと輝いているようだった。
諦めるしかない。
そう、思ってしまうほどに…。
美貴の頬に、冷たい涙が静かに零れていた…。
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