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美貴と別れてから、その足でヒロは病院に向かい美衣に会いに行った。美衣はICUにはいなくて、個室に移されていた。酸素マスクなども取れて、点滴だけ打たれていたが、穏やかな表情でヒロを見つめた。
「ヒロさ…ん、瑠生…に何か、あったのね…」
ゆっくりと美衣が話すと、ヒロは美衣を見つめた。
「昼間に…匠、来た。何も、心配しなくて、いいって。瑠生は…強いからって。必ず俺が、助けるからっ…て」
美衣はゆっくりとした口調でそう言うと、ヒロは頷いて微笑んだ。
「俺もいる。みんな、ついてるよ。君にだって」
とヒロが言うと、美衣は苦笑した。
「私ね…瑠生がずっと、羨ましかった…。強くて、勝ち気で、どんなことにも、逃げないで、立ち向かえる、そんな強さが…羨ましかった…。でも瑠生はいつも、小さい頃から匠がついてて…ホントは…私、妬いてた。ダディが二人いるみたいな瑠生。羨ましかった」
美衣がそう言うと、ヒロはなんて言えばいいのか分からなくて戸惑っていると、美衣はにっこり笑った。
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