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瑠生はそんな私のために、淋しくて泣きたくても、わがまま言って甘えたくても、…我慢、してたんだ。我慢して、辛くないフリをして、聞き分けのいい娘を、演じてたんだって。匠だけはそれが分かってたの。だから……匠が瑠生のクッションになってたんだ。匠がいなかったら、きっと、瑠生は淋しくてもっともっと、我慢したんだ。だから、今は、匠がいてくれてよかった…って思ってる。私ね、瑠生のこと、本当に愛してるの。たった一人の家族で、大切なお姉ちゃんなんだ。……ヒロさん、瑠生を、助けてあげて。匠がいてくれるなら心強いけれど、ヒロさんも、気をつけて。お願いだから、みんな生きて帰って来てね…!」
美衣はそう言って、涙ぐんで微笑みながら、ヒロを見つめた。ヒロはそんな美衣を見つめると、しっかりと大きく頷いた。
「必ず、みんなで、ここに帰ってくるよ」
*
ヒロは空を見上げた。
青い空は何処までも澄んでいて、その空の果てには、瑠生との運命が見えるような気がした。
瑠生と自分を繋いでいる空は、どこにあるのだろう…。
ヒロはそう思うと、涙が溢れた。
《別れ》が来る恋かもしれない。
瑠生は、俺を選ばないかもしれない…。
でも、今は諦めない。俺は諦めたりしない。
瑠生を愛してる。自分の気持ちにだけは、嘘をつきたくないから。
瑠生。待ってろよ。
必ず助けに行くから。
たとえ、瑠生が匠さんを愛していようと…。
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