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なんの音だろう?
低い、汽笛が遠くに聞こえる。
昔、ニューヨーク港でフェリーを眺めながら聞こえてた……懐かしい、音。
車の騒音はあまり聞こえない。時々、トラックのタイヤがきしむ音が聞こえるだけ。
人の声もあまり、ない。
近くに、倉庫があるのかもしれない…。
ここは…何処?
あたしは、ゆっくりと重い瞼を開けた。
右を見て、左を見て、……天井を見た。
壁。
壁…………。
窓はない。
4畳くらいの小さな部屋に、天井には豆電球。
パイプベッドに安物らしい固めのマットだけが敷かれて、その上にあたしは後ろに手を縛られていて、両足もしっかり縛られている。
口元にはガムテープが貼られていて、あたしはまだ少し頭がボーっとしていた。
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