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二人はあたしを連れて部屋を出ていくと、廊下はギシギシと床がきしんでいた。どうやら木造らしい。しかも年季が経っている感じだ。部屋を出ると、隣には窓のない小さなドアがある。この階には部屋は二つだけのようだ。
廊下を奥まで二人に挟まれて歩いて行くと、階段が上りと下りがあり、ようやく外が見える小さな窓があった。首を伸ばして窓の外を見ようとすると、そこには高い木がそびえ立ち、葉のない枝が冬の風に揺れている。
肝心な景色を見る前に金髪男に背中を押されて、あたしは横目でそいつを睨み付けると、あたしたちは階段を一階分だけ降りた。
また窓がある。
さっきいた階は、3階か4階かな。
あたしは、今度こそ、窓の外の景色を見た。
上の階では木の影になって見えなかった建物が目に飛び込んでくると、あたしは驚いて目を丸く見開いた。
目に飛び込んできたのは、何年かぶりに見るリバティー……。
…そう。自由の女神だ。
お台場の自由の女神とは、ワケが違う。
本物の自由の女神だ。
懐かしい。
でも、懐かしんでいる場合じゃない。
あたしは、麻酔で眠らされて、いつの間にかに…ニューヨークに連れてこられたんだ…!
………あたしは、じゃあ、どうやって日本に帰ればいいの…!?
助けて、匠!
頭の中が混乱して、考えたいこともまとまらない。
歩きながら、あたしはクラッとめまいさえした。
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