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あたしはきつく目を閉じて身をよじった。背筋が凍る。全身の毛が逆立ちする…。
「お前をボロボロにした状態で、匠の前につき出してやる。やつの絶望した顔を見たい。怒りと絶望感に満ちた顔が見たいのだ。そうして、奴を打ちのめす。体を傷つけるよりも、精神からズタズタにしてやるのが、一番の苦痛だ。奴が一番大切にしているお前を、利用する。お前も見たいだろう?瑠生。匠の打ちひがれる姿を…」
カルテロがそう言うと、あたしは驚きながらカルテロを見つめた。
「そんな………」
「あいつは私の全てを奪ったのだ。だから復讐するために、私はここにいる!」
そう言って、カルテロの手にはいつの間にか鞭があり、カルテロは右手を腕を振り上げた。ヒュルル…と小さく音がして、鞭はしなやかに空気を裂いて、あたしの背中を切るように弾いた。
「きゃあっ!!!」
あたしの背中が、弓のようにしなった。カルテロは再び腕を振り上げて、更に鞭をあたしの背中に振り下ろした。冷たく空気を切る音と、あたしの肌を切り裂く鈍い音が部屋に響き渡った。
「きゃあああぁッッ!」
あたしは再び悲鳴をあげた。
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