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赤い線が、あたしの背中に二本交差している。
カルテロはニヤリと笑うと、何度も背中を鞭で打ち、あたしはやがて悲鳴を上げることもなく、成す術もなく鞭に打たれていた。
「どんなに強がりをほざいても、私に刃向かうことはできまい。我々が受けた苦しみはこんなものではないんだ。もっと苦しめ!!泣き叫べ!!そして、匠の名前を叫ぶがいい!!」
カルテロがそう叫ぶと、呼吸を乱しながらもあたしは顔を上げてカルテロを睨み付けた。
「火に油を注ぐだけよ!匠は絶対にあんたなんかに負けない!だけど……残念ね。あんたを殺すのは………匠じゃない。……このあたしよ!!」
目も虚ろになりながら、あたしは負けずにそう強く言うと、カルテロの顔色が変わった。
「あたしの美衣を撃った。だから美衣の仇はあたしが討つ…!!こんなことに負けたりなんかしない!もっともっと打ちなさいよ!こんなの、痛くも痒くもないんだから!」
あたしがそう叫ぶと、カッとしたカルテロは、再び鞭を振り上げた。
右に。
左に…………。
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