1 陰謀のプロローグ

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紅い彩りの秋から、白い冬へと移り変わる季節。11月ももうすぐ終わる、最後のウィークデイ。季節は、冬を迎えるための準備を始める。薄手のジャケットから、今は裏地がしっかり付いている暖かいコートを羽織るようになった。 あたしは瑠生(るう)。 あたしの最近の服装は、ミニスカートは前から変わらずだけど、靴は少し底上げしているロングブーツ、夏はサングラスを頭にかけていたけれど、今は代わりに帽子を被っている。 あたしの仕事のボスである(タクミ)が言うには、あたしの恰好は「今ドキのギャル」なんだって。 なんか、ムカつく。 褒めてないよね? 「まだ若ぶって足出してんのか?」 とか言う。 ほんと、口が悪い。 探偵をしている匠が先日政治家関連の依頼を受けたため、たっぷり報酬をもらったので、バッグを新調してもらい、肩からかけるかわいいベージュのショルダーバッグを手に入れた。報酬があると、美味しいものを食べさせてくれたり欲しいものを買ってくれる。その時だけは、懐の厚い「お父さん」だ。 * あたしは、身辺の微妙な変化に少しずつ気付き始めた。 まだ夜明け前。 朝はめっきり冷え込み、あたしは頭まで布団を被っていた。ふと、布団から顔を出して壁時計を見た時、何か光っている物に気がついた。 いつから? 昨日はあった? いや、分からない。 気になると、もう眠れない。 あたしは寒さを我慢しながら起き上がり、ダイニングの椅子を持ってきて、電気をつけて、椅子に上がって壁時計に手を伸ばした。
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