578人が本棚に入れています
本棚に追加
あたしが言いかけると、後ろから慎也がきて、
「今更だよなぁ、美衣」
と微笑んで言うと、あたしは振り向いて慎也を見つめると、慎也はベッドの向こう側に回り、美衣と慎也は顔を見合わせて笑った。
「うん。今更だよ。見てて苛々してたよ。なんでくっつかないんだろうって。ヒロさんには悪いけど…。あ、でもね。ヒロさん、どっか行くみたいだよ。話した?」
と美衣が言うと、あたしは驚いて美衣を見つめた。
*
俺は横須賀にやってきた。
遥の動物病院のドアを開けると、受付の助手は小さい窓から俺を見て、微笑んで会釈をして、
「こんにちわ。遥先生なら今奥のレントゲン室にいますよ」
と教えてくれると、俺は頷き、診察室のドアを開けた。レントゲン室のドアに手をかけようとすると、先にドアが開いて遥が姿を現すと、俺たちは同時に驚いて顔を見合わせた。その途端遥の瞳に涙が溢れてきて、俺の頬を両手で包み込んだ。
「本物…!?」
と遥が言うと、俺はしっかりと頷いた。
「心配かけてすまなかった。それと、お礼を言いに来たんだ」
と言うと、遥は俺を見つめて苦笑した。
最初のコメントを投稿しよう!