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あたしは頭を横に振ってそう言うと、ヒロは悲しそうにあたしを見て、
「じゃ、俺を選べるか?瑠生」
と言うと、あたしは目を丸くした。ヒロはあたしを真顔で見つめている。あたしは返事に戸惑って、言葉が思い浮かばない。すると、ヒロは苦笑してあたしの頭を軽く小突くと、
「困るなら、我が儘言うなよ。ばか」
と言った。ヒロはまだ少し残っている荷物を、再び整理し始めた。
「分かってるから…。もう、充分すぎるくらい、分かったからさ。瑠生と匠さんのことは。俺の中でも、とっくに気持ちの整理はついてる」
「ヒロ…」
あたしは涙が溢れてきて、そんなヒロの背中を見つめていた。
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