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「もうバスの時間なんだ。行くよ」
ヒロは荷物を持って立ち上がると、あたしは耐え切れなくてヒロの背中を抱きしめた。ヒロは足を止めて、ゴクッと息を飲んだのが、背中からも分かった。
「あたし、ほんとにヒロのこと好きだった。大好きだったよ。ずっとそばにいたいと思った。ヒロに甘えて、ずっと一緒にいられたらどんなにいいか…真剣に悩んだよ。それだけは嘘じゃないから。あたしたち、間違いでも嘘なんかでもなかった。本当に、大好きだったよ!」
あたしは子供のように泣きながら、ヒロの背中にしがみついていると、ヒロはヒロの腰を抱きしめているあたしの手をそっと右手で包み込むと、
「あぁ。嘘なんか、一つもなかったよ。俺も、瑠生のこと、大好きだった…!」
と答えると、あたしは唇を噛み締めて声を殺して泣いてしまった。
「ヒロ。こんなあたしを愛してくれてありがとう。あなたと一緒にいる時間は、とても満ち足りていて、すごく幸せだった。危険なのに、アメリカまで来てくれたよね。驚いたよ。感謝しても、しきれないよ。あたし、ヒロのこと、一生忘れない。ヒロと出会えて良かった。ヒロと付き合ってよかった。こんなあたしを、好きになってくれてありがとう」
あたしは苦しみを必死に堪えてそう言うと、ヒロも背中が震えていた。
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