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美衣が退院する日。
病院の外で、美衣とあたしと慎也で話していると、匠が大きな花束を片手で持って肩に抱えてやってきた。みんなはそんな匠を見ていると、匠は美衣に花束を渡し、
「退院おめでとう。後遺症もなくて良かった。お前も結構頑丈だな」
と微笑んで言うと、美衣は頷いて花束を受け取り、嬉しそうに笑った。
「ありがとう!てか、他になんかイイ言葉言えないの?…匠が花束なんてガラじゃないけどね」
と美衣が言うと、匠はふいっと口を尖らせている。あたしと美衣は顔を見合わせて笑った。すると、慎也が匠の隣に立ち、
「そういう滅多にないことをする時は、なんか意味があるんだよなー」
と言って匠を見ると、あたしと美衣は匠を見つめた。何気に慎也は、匠のことをよく見てるんだな。とあたしは初めて感心してしまった。匠は溜め息をついて、少し頭をかくと、再び美衣を見た。
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