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翌朝。
あたしはゆっくりと目を覚ました。
いつもと感触が、どこか違うシーツ。
ベッド。
あたしは、二日酔いで頭をガンガン石で叩かれてるみたいに痛い。
ゆっくりと起き上がってみた。
「ここ、あれ?…えっとぉ…」
あたしは瞼を擦りながら、ふと自分が着ている服に目がついた。自分の服じゃない。裸の上に、大きなTシャツを着ているだけ?胸元に手を当ててから、腰やお尻の方まで触ってみた。ブラジャーやショーツすら身につけていない。部屋を見渡すと、ここが匠の部屋だとすぐに分かった。
「…………あっ……!!」
思いだした…!
夕べ、ここで匠に抱かれた。
あれは、夢ではない。あたしはそう思うと、急に恥ずかしくなって頬を真っ赤に染めた。
匠は今、ここにいない。だけど、どんな顔をして会えばいいんだろう。どうして、こんなことになったんだろう?!頭の中が混乱している。
「こ、こういう時はシャワーだ!!」
そう思い付いて、あたしはベッドから降りてバスルームに向かった。この部屋には何度も来たことがあるし、泊まったこともある。タオルの場所などはもちろん熟知していた。あたしは箪笥からバスタオルを取り出してバスルームに入ると、洗面台の鏡に映る自分の顔を見つめて、なんだか昨日までの自分とは違うような気がした。
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