4 約束

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やがて、ドアがノックされて遥さんは颯爽と歩いていきドアを開けると、 「すでに匠と瑠生はお待ちかねです」 と誰かと話している。匠とあたしはソファに座っていたけれど、同時に立ち上がった。 ドアの向こうからゆっくりと現れたのは、女性。 見たことのある、顔。 白いシャツにグレイのタイトスカート。黒いパンプス。長い髪は後ろで一つに束ねている。その女性は遥さんと共に、匠とあたしに歩み寄ると、あたしは驚いて目を丸くした。 「…嘘…!」 あたしは身を乗り出して、 「ママ…!!?」 と言って、思わず彼女に駆け寄り思い切り飛び付いた。 あんなに憧れて、会いたくて……、失ったことが恐くて、悲しかった。 あんなに愛していた母が、目の前にいる。 相変わらずの、優しい笑顔を浮かべて…。 * 「ママ…!!ママ!!」 あたしは彼女を抱きしめながら、涙が溢れてきた。すると、彼女は溜め息をついてあたしの肩を軽く叩くと、 「残念だけど、瑠生。私はあなたの母の鈴音(すずね)ではないの」 と彼女が言うと、あたしは目を丸くして、彼女からゆっくりと離れて彼女を見上げた。すると、匠が後ろからあたしの肩を掴み、 「本当だ、瑠生。彼女は藤川香織さん。鈴音の妹なんだ」 と言うと、あたしは驚いてもう一度その女性を見つめた。
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