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「ママの………妹?」
彼女は優しそうに、にっこりと微笑んで私を見つめている。
「瑠生。あなたがまだ幼かった頃、一度だけ会ったわ。大きくなったわね」
彼女はそう言って、目を細めてあたしの頬を両手で包んだ。
「あたしの、叔母さん………なの?」
あたしが涙ぐみながら尋ねると、香織さんは大きく頷いている。匠は香織さんを見て、小さく会釈をすると、
「お久しぶりです、香織さん。わざわざ来て頂いてすみません」
と言うと、香織さんは匠を見つめて苦笑し、二人は握手を交わした。
「お久しぶりです。美衣を撃った犯人が脱国しそうだったので、空港で阻止したわ。でもまた行方をくらましてしまった。ということは、また何か企んでいるのかもしれない」
香織さんの言葉に、あたしは息を飲んだ。ぎゅっと拳を震わせて、
「犯人?!何処?何処にいるのっ!?」
と言うと、香織さんは優しくあたしの肩を抱いた。
「ごめんね。憎いよね。私も憎いわ。だからこそ、あなたと匠に協力してほしいのよ」
香織さんはそう言って匠を見つめると、匠は複雑な表情をして俯いていた。
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