4 約束

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あたしと匠、遥さんと香織さんはソファで向かい合わせに座り、香織さんはゆっくりと話し始めた。 「瑠生。あなたのお母さん…鈴音はね、ホントはニューヨーク市警の警察官じゃないのよ。そこから、話していくわね……」 香織さんはそう言ってあたしを見つめると、あたしはすでに驚いて目を丸くしていた。 「鈴音は、本当は日本が送り込んだ工作員…いわゆるスパイだったの。元は刑事だった。優秀で真面目で正義感溢れた刑事だったの。優秀で、身寄りもなく孤独な鈴音に公安警察は目を付けたわ。私も公安で働く警察官だった。私の場合は現場とかに出ないで、頭脳の方で動く刑事だったけどね。私と鈴音には身寄りがないから、危険を伴う任務にはピッタリなのよ。私と鈴音は別々に工作員の訓練を受けさせられたの。ある日、日本の警察がある麻薬密輸、武器密輸に関わる組織を追い掛けていて、警察がその武器密輸から購入した銃を使っていたことが判明したの。重大なスキャンダルになることを恐れた日本警察は、その組織を追い掛けて、ニューヨークに組織が潜伏していることを突き止めたわ。ニューヨーク市警の特殊部隊もその組織を追っていたから、鈴音がそこにスパイとして送り込まれたのよ。私はすでに特殊な任務についていて、先にニューヨークに来ていたから、鈴音とは向こうで会ってたわ。鈴音の任務はその武器密輸の全貌、組織のトップ、全てを暴き、壊滅させること。逮捕ではなく、壊滅。跡形もなく消し去ることが重要なの。そこで、スティーブと知り合ったわ。
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