4 約束

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あの時、組織のトップにいたアラン・ド・カルテロの死は、世界的に震撼させたニュースだった。だけどアメリカは匠さんの存在を恐れたわ…………」 「香織さん…。その話は」 匠が口を出すと、香織さんは匠を見つめて微かに苦笑した。 「……そうね。余談になったかな。…昔の話を長く話しすぎたわ。本題に入るわね。そのアラン・ド・カルテロには、実は、息子がいるの」 香織さんはそう言うと、匠とあたしは驚いて身を乗り出した。 「息子?!」 「その名前はスヴェン・ド・カルテロ。フルネームはもっと長いけど、通称この名前で出回ってる。表向きは青年実業家。イタリアやスイス、世界各国で彼が経営するホテル、レジャーランドはいくつもあるわ。ここ一年くらいで、彼があの組織のカルテロの息子だってことが分かった。彼は恐ろしくて、油断のならない計算高い人よ。カルテロは父の復讐をするために、着実に力をつけてきた。世界各地に暗殺者を送り出せる人。彼は、匠さんを狙ってるわ。美衣と瑠生の存在を使って、匠さんを精神的に追い詰めようとしたの。そして瑠生が狙われて、美衣が撃たれた」 香織さんが言うと、あたしの手は膝の上で握りしめながら震えていた。
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