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俺は関内の自分の事務所にいて、インターネットで《カルテロ》を検索していた。《カルテロ》は、某ホテルのオーナーとして顔写真が掲載されている。年は、俺よりかなり若く、短い黒髪に黒い瞳。スペイン的な濃い顔立ちをしている。父親と、よく似ている。瓜二つだ。
家族構成は不明。
兄妹も不明。
そいつ以外に、もし子供がいたら…?
そこに突然携帯電話が鳴り出して、俺は携帯電話を胸ポケットから出して受話ボタンをスライドして耳に当てた。
かけてきたのは、ヒロ。
少しドキッとしたが、冷静さを保ちながら電話に出た。
「もしもし…」
「匠さん!瑠生がさらわれた!!」
勢いよくヒロが言うと、俺は思わず息を飲んだ。
「サンセットの前で!!おそらく、前に事務所から瑠生をさらおうとした奴らだ!」
「…いつ?」
「たった今…!いや、5分くらいたったかも。どうしよう…!俺、どうしたらいいですかっ!?」
ヒロが動揺しながら言うと、俺は壁時計を見上げた。
現在、夜の10時を少し過ぎていた。俺は舌打ちをすると、
「俺は今事務所にいる。すぐに来れるか?」
と尋ねると、ヒロはまだ少し混乱しながらも、
「今から10分くらいで行けると思います!」
とはっきり答えると、電話を切った。
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