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俺は身震いさえして、歯を食いしばると、
「…クソッ!!」
と怒鳴って立ち上がり、携帯電話をソファに投げつけた。
あたしを一人にしないで………。
そう言って肩を震わせていた瑠生を思うと、やるせなさと苛立ちに、居ても立ってもいられなかった。
瑠生……!
*
間もなくヒロはやってきて、俺はヒロに状況を聞いた。
「なんか、外で話し声が聞こえたような気がしたんだ。瑠生の声に似てて…。不思議に思ってドアを開けてみたら、遠くで黒い車がすごい勢いで走っていって、運転してる奴の顔は見えなかったけど、後ろにいたのは、間違いなく前に瑠生をさらおうとしてた男だ。短い金髪だったからすぐ分かった…!!それと瑠生のバッグが落ちてて………」
ヒロが少し泣きそうな眼差しになってそう言うと、俺は顎に手をかけて考えてみた。ヒロは身を乗り出して俺を見つめると、
「瑠生、大丈夫ですよね!?殺されたりしないですよね!?」
と言うと、俺は思わずヒロを睨みつけて、
「俺がついてて、死なせるもんか!!」
と言ってから、我に返った。
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