5 復讐のLiberty

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「上に繋げてくれ。俺から話す」 と俺が言うと、香織さんと遥は驚いて俺を見つめている。が、香織さんは俺の真剣な眼差しに気付いて、電話の短縮ボタンを押し、相手が出ると同時に俺は受話器を耳にあてて話し始めた。 「匠だ。すぐに出国の手続きをしてもらいたい」 ときっぱりと言うと、電話に出た男は一瞬躊躇った。 「…………君は、この《事》の重大さに気付いていない。君たちだけの問題ではないのだ。カルテロを敵に回すということは…」 「じゃあ誰が瑠生を救う?あんたらが行ってくれるのか?!どうして瑠生の妹の美衣が撃たれたんだ?ディズリーの死は?!すぐに瑠生を助けに行けないなら、俺はハイジャックをしてでも行く。どうしても反対するのなら、俺は二度と日本には戻らないと約束してもいい。日本にもアメリカにも残らない。その条件ならどうだ?頼むから今すぐアメリカに行かせてくれ!!」 俺が怒鳴るようにそう言うと、遥は思わず立ち上がった。 「匠っ…」 「俺だって無駄な闘いなんてしたくない。でも仕方ないだろ?瑠生がこんなことにあって、黙っていられるか!カルテロがいる限り、俺達に安心して暮らせる場所などない!それなら…俺はあいつを取り戻してカルテロを潰す!」
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