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「敵って……」
「……っ! 来たわ」
そう答えた彼女の瞳は、僕の背後の方を見据えていた。
その方を見てみると、さっきまでは何もなかったはずの海に何かがこちらに向かって来ていた。
次第に距離も近づき、その何かが正体を現す。
ロボットだ。しかも、このロボットのような姿をしている。
「何だよあれ……。さっきまでいなかったはずなのに!」
「尖兵よ。魔法を使って私を追ってきたの」
「尖兵? 追ってきた?」
「……。いいから、とにかくあなたは逃げて!」
「君は!?」
「私は奴と戦うわ。だから、あなたは……。うっ……」
途中で彼女は腕を押さえて座りこんでしまった。
「怪我してるじゃないか!」
「私は大丈夫……だから……」
「大丈夫なんかじゃない!」
口では大丈夫とは言っているものの、辛そうな顔をしていた。
このまま逃げ出して、彼女に戦わせるわけにもいかない。
なら、僕がすることは一つだ。
「……あいつらとは僕が戦う。だから、このロボットの動かし方を教えてくれ!」
「で、でも……」
「まだ出会ったばかりだし、君の言うこともわかるけど……。けど、だからって無関係でいることなんて、僕には出来ない! だから、今だけでいいから僕を信じて欲しい!」
「……わかったわ」
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