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古ぼけたアパートの古ぼけたドアを開けて、俺は突き刺さるような冷たい空気のなかにそっと足を踏み入れた。
見上げれば、雲一つ無い青空が広がっていて、いつもより、世界が広い気がした。
そんな青に向かって、俺は真っ白な息を吐き出した。
「勇人っ!」
背後から聞こえた、少し高めの、子供みたいな声と、パタパタとコンクリートを蹴る音。
振り返れば、当たり前のように俺の隣に追いついた、俺より頭ひとつ分小さな男。
「…はよ」
マフラーから覗く頬と鼻を赤らめて、忙しなく白い息を吐いているそいつに、小さく挨拶を述べると、そいつ…親友の悠は、その大きな目をきゅっと瞑って、「おはよ!」とまた白い息を吐き出した。
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