恋は盲目(執筆中)

2/3
8人が本棚に入れています
本棚に追加
/59ページ
古ぼけたアパートの古ぼけたドアを開けて、俺は突き刺さるような冷たい空気のなかにそっと足を踏み入れた。 見上げれば、雲一つ無い青空が広がっていて、いつもより、世界が広い気がした。 そんな青に向かって、俺は真っ白な息を吐き出した。 「勇人っ!」 背後から聞こえた、少し高めの、子供みたいな声と、パタパタとコンクリートを蹴る音。 振り返れば、当たり前のように俺の隣に追いついた、俺より頭ひとつ分小さな男。 「…はよ」 マフラーから覗く頬と鼻を赤らめて、忙しなく白い息を吐いているそいつに、小さく挨拶を述べると、そいつ…親友の悠は、その大きな目をきゅっと瞑って、「おはよ!」とまた白い息を吐き出した。 .
/59ページ

最初のコメントを投稿しよう!