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私が旅に出て、どれくらい経ったろう…。 街の外れにあるこの宿屋は、人が良さそうな老夫婦が経営するこじんまりとした宿だった。 私が案内された部屋はとても手の行き届いたいい部屋だった。 「明日はどこに行こうかな…。」 この独り言に答えてくれる者はもちろんいない。 生まれ故郷に家族を置いて一人旅を続けてきた。最初の頃は一人でいることに寂しさを感じて声を殺し泣いた夜もあったが、今になっては寂しさは心のどこかに消えたようだ。  
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