夢の始まり

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彼の名は山川大地。県立高校に通う高校三年生。彼には昔からの夢があった。「プロに入る」こと。彼は大柄で、入学してきたときは外野志望だったが、監督の目に付き投手として1年からベンチ入りを果たした。ストレートは140km代、決め球のカーブとスライダー、チェンジアップを投げることができた。今年の春から背番号1を背負い、夏は一回戦に完封し、二回戦も打線の援護もあり勝つことができた。しかし三回戦は県の名門校。甲子園にも一昨年出場したチームだ。彼は八回までを二失点に抑えた。しかし打線に火が着かず、スコアボードに「0」が並び、完封負け。彼の甲子園への出場はならなかった。彼はここまで来ると、プロは自分の事を目につけていないのだろうと思い、頭が真っ白になった。しかしバックネット裏、一人の男がベンチで泣く彼を凝視していた。
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