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「 私は……ルナ・マーラム。 ルナと呼んで下さい。 あの、所でバードさんはどの部署にご用なんですか? 」
「 ルナ、か。 おいおい今更敬語なんて使わなくていーぞ。 ……大体さっきまで、さんざタメ口だったじゃねーか 」
急にしおらしくなったルナが気に入らなかったのか、アイオスは拗ねたように口を尖らせた。
「 俺の事はアイオスでいい。 その方がしっくりくる 」
アイオスは笑った。
「 えと……じゃあ、アイオス、あなたマーティアーク城のどこに行く予定? 私は、その……ここを左に曲がりたいの 」
正直な所、アイオスとは早く別れたかった。
旅装姿の彼はまだこの国の者と確認できたわけではない。
さっき衛士にチラつかせた物もルナが今まで見た事もない紋様だった。
( まだ信用できないわ )
「 それじゃ私、こっちだから。 じゃーねっ! 」
軽めの雰囲気を装い、できる限り爽やかにチャッと手を上げルナは超早歩きでその場を去る。
「 えっ!? オイちょっと待てよ! 」
驚いたアイオスの声が後ろから聞こえたような気がするがルナは振り向かず、サッと横路にそれ姿を消した。
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