72人が本棚に入れています
本棚に追加
入れ、と声がしルナは扉を開ける。
ギィ……
扉は重い。
ルナはゆっくりと両手に力を込めた。
途端に視界が大きく開け、ルナは眩しさに目をすがめる。
広い天井。
壁には美しい装飾が施されている。
そして真っ正面には高い檀。
その上にきらびやかな椅子が一つあり、そこに男が座っている。
「 おお、ルナか。 よく来た 」
声の主は王。
現テグネール王ハインツ。
ルナは平伏する。
「 しかし、おしい……さっきまでそなたの姉上が来ておったのに、たった今出て行ったばかりだ…… 」
「 ………… 」
( えっ!?
お姉ちゃんてば、どこ行ったのよーーー)
何か言いたそうにしているルナに気づいたのか、ハインツが頬杖をついた。
「 ルナ、何かあるなら申してみよ。
前から言っているが、余が王だからと遠慮することはない。古くさいしきたりも無用だ 」
.
最初のコメントを投稿しよう!