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第二層に移動したルナは瞳をゆっくりと開く。
いつも思うがゲートの使用は、
あまりいい感じがしない。
陣が発動する時の自分が自分でない感覚、
何か得体の知れないものに身を任せる浮遊感。
この無防備な瞬間が、嫌。
やっぱり、私、魔法は好きになれないわ。
「 君は、誰? 」
突然、声をかけられて顔を上げる。
目の前には青年が立ってこちらを見ていた。
「 わっ…! あ、あの、すいません。私、邪魔ですね 」
ルナはそそくさと通路の端に寄る。
ゲートは確かに利便性があるが、また逆も然り。
(ふぅ、
移動したらすぐ避けなきゃならないのに、
私ったら…)
プッ、クックッ…
……?
笑い、声。
先程の青年が
口元を押さえながら、
笑っている。
何か言い返そうと思ったけれど、
言葉が出ない。
さっきは慌てていたから、
ちゃんと見てなくて気づかなかったけど、
この人…すごく綺麗だ。
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