◇帰ってきたお姉ちゃん

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「 だいたいさ、 ここって広すぎない? 王立だから仕方ないかも知れないけど…。 それにしたって、 調べたい事があっても すぐ探し出せないんじゃ、 意味、ないでしょ 」 沢山の蔵書。 フィリア・ルーは隙間なく陳列された棚を呆れたように眺めている。 (きっと、 初めての利用なんだわ) 各層にはカウンターがあり、 そこで検索システムを起動させれば、 目的の本の場所を調べられる。 ( 知らないのね、 この人 ) フィリア・ルーはキョロキョロと辺りを見回しながら、 先の見えない通路を再び歩き出す。 「 ちょっと待って下さい! その…フィリア・ルーさん、 …私が案内しましょうか? 」 「 ……え? 」 思わずハッシと 彼の長衣(ローブ)を背後から引っ張った。 フィリア・ルーの動きが止まる。 「 あっ、す、すみません…! 」 慌ててパッと手を離す。 しまった…、 もし高位の方だったら、 どうしよう。 王族、貴族または爵位を持つ者には、 平民から触れる事なぞ 許されない。 先王の時代は罰則まで存在した。 テグネール王は、 そういう時代遅れのしきたりを嫌い、 それに関する法を改正した。 だが、 古い家柄の者や先王のやり方を支持する者達は いまだに平民が触れるのを 良しとしない。 彼は貴族かも知れない。 フィリア・ルーの動きは それだけ洗練されていた。 ルナはギュッと目を瞑り、 息を呑む。 プッ…。 あれ…? また、私、 笑われた。 激昂されるかと、 身構えていたのに…。 俯いてるルナからは、 その姿は見えない。 「 ねぇ、普通、 フルネームで呼ばなくない? 俺の事はルーでいいよ。 ルナはここ詳しいの? 」 顔を上げるとルーは かすかに笑っている。 .
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