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「 すごいねルナ。
図書館案内人なんて、やってるんだ 」
ルーは感心したように呟きながら、
先を行くルナの後についていく。
「 もぅっ、さっきから言ってますけど、
私は学生なので正規の職員じゃないんです。
ただの見習いなんですよ 」
ルーの好奇の眼差しを背中から感じ、
ルナは口を尖らせた。
カレッジ生は学生である間は、
労働は禁止となっている。
きっと、
私が働いてるのが珍しいんだわ。
たぶんルーは働かなくても生きていける。
家柄、地位、財産があれば、
平民とは明らかに違う待遇が許されるのだ。
だがそれと引き換えに高位の者は下々の者に対し、
何らかの責任能力を要求される。
そしてそれは彼らにとって重圧となるのだろう。
私達にとって、労働し税金を納める事が義務なら、
彼らだってそういった務めを果たす事もまた同じなんだわ。
(でも結局、私達の労働の方が大変な気がする…)
割に合わない、
と思う。
格差が大きいように思うときがある。
私は知らない。
城下町の暮らししか、
わからない。
わからないから、
彼らのいう、
『高貴なる義務』を理解できない。
「 …?
ルナ、待ってよ」
急に黙りこんだルナに不安を感じたのか、
ルーは慌てて彼女より、歩幅を広くした。
すぐに追いつき、
ルナと肩を並べる。
「 着いた。
さぁ、第三層へ行きましょう。
そうだ、一応手を繋いで下さいね。
はぐれたりしたら困るから 」
再び、奇妙な文字の羅列が円陣となっている所に立ち止まる。
片手を上げ、陣を発動させながら思わず笑った。
あ、
これって、
劣等感かもーーー…
この湧き上がる複雑な感情が何なのか。
それに気づいた自分が恥ずかしくて、
心の中でルナは苦笑した。
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