◇帰ってきたお姉ちゃん

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「 すごいねルナ。 図書館案内人なんて、やってるんだ 」 ルーは感心したように呟きながら、 先を行くルナの後についていく。 「 もぅっ、さっきから言ってますけど、 私は学生なので正規の職員じゃないんです。 ただの見習いなんですよ 」 ルーの好奇の眼差しを背中から感じ、 ルナは口を尖らせた。 カレッジ生は学生である間は、 労働は禁止となっている。 きっと、 私が働いてるのが珍しいんだわ。 たぶんルーは働かなくても生きていける。 家柄、地位、財産があれば、 平民とは明らかに違う待遇が許されるのだ。 だがそれと引き換えに高位の者は下々の者に対し、 何らかの責任能力を要求される。 そしてそれは彼らにとって重圧となるのだろう。 私達にとって、労働し税金を納める事が義務なら、 彼らだってそういった務めを果たす事もまた同じなんだわ。 (でも結局、私達の労働の方が大変な気がする…) 割に合わない、 と思う。 格差が大きいように思うときがある。 私は知らない。 城下町の暮らししか、 わからない。 わからないから、 彼らのいう、 『高貴なる義務』を理解できない。 「 …? ルナ、待ってよ」 急に黙りこんだルナに不安を感じたのか、 ルーは慌てて彼女より、歩幅を広くした。 すぐに追いつき、 ルナと肩を並べる。 「 着いた。 さぁ、第三層へ行きましょう。 そうだ、一応手を繋いで下さいね。 はぐれたりしたら困るから 」 再び、奇妙な文字の羅列が円陣となっている所に立ち止まる。 片手を上げ、陣を発動させながら思わず笑った。 あ、 これって、 劣等感かもーーー… この湧き上がる複雑な感情が何なのか。 それに気づいた自分が恥ずかしくて、 心の中でルナは苦笑した。
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