72人が本棚に入れています
本棚に追加
ルナの家から王城まではそんなに離れていない。
ただし城と街を繋いでいる大きな橋を渡って行かなければならないのだ。
( それがちょっとめんどくさいのよね…… )
橋を渡るには身分証ときちんとした理由がいる。
( お姉ちゃんからの手紙……って言うのもナンだし、う~ん学生証でいっか )
王城――マーティアークはとても広く、国の政治の中枢機関である。
が、同時にそういった各種に精通した者達を養成する機関もあることで有名だった。
その名も王立学院――トリニティ・カレッジ。
ルナはここの学生だ。学生なら証明書さえ見せれば基本的に自由に行き来できる。
やがて眼前に橋が見えてきた。 ルナは学生証を取り出そうとポケットに手を忍ばせる。
プァ~ッ、パァ~~ン!!!
突然、背後からラッパのような物凄い音が軽快に鳴り響き彼女は振り向いた。
「 ……!! 何の音!? 」
見れば周りにいた往来の人々も音の聞こえた後方を凝視している。
次第に人だかりができてきた。 とっさにルナもその中に混ざると一緒に様子をうかがった。
最初のコメントを投稿しよう!