72人が本棚に入れています
本棚に追加
人混みを避け二人はようやく橋の前へたどり着いた。
「 さぁ着いたぞ 」
男はルナを下ろした。
「 ありがとう。 じゃあここでお別れね 」
軽く手を上げ、通行人を確認している衛士のもとへ行こうとすると男が慌てたようにルナを引き止めた。
「 待てよ。 俺もここに用があるんだ 」
「 え? 」
軽く驚いているルナには構わず、男は十字をかたどった胸飾りを指差し、衛士に示す。
途端に衛士の顔色が変わった。
「 はっ!! お勤めご苦労様ですっ!! 」
胸に手を当て衛士は敬礼の仕草をとった。
男は特に驚いた様子もなく、ルナの背を軽く押した。
「 さ、行くぞ 」
「 えっ!? 何、今の? 」
( やだ……この人もしかして凄い偉いヒトなのかしら!? )
ルナの戸惑いが伝わったのか、男は笑った。
「 俺はアイオス、アイオス・バード。 お前、名は何という? 」
.
最初のコメントを投稿しよう!