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空を見上げるニールを見て、ラークはがっかりした様な表情をする。
人間には見えなくても、魔力が人間よりも強く、自然と共存して感覚が研ぎ澄まされている魔物であり、それらを取りまとめる長であるニールなら何かを感じれる、もしくは、何かを知っているかもしれないと思ったのだが、空を見上げるニールにその様子はない。
俺は、なんなんだろう? とラークは思う。人と言うよりはキャロレイに近く、キャロレイだと言うには彼は特殊である。それに加え、幻覚かと自分でも時たま思ってしまう、魔方陣と風の存在。
「ラディールは、知ってるか?」
考え過ぎれば不安に落ちるだけだと、ラークは新たに問いかける。ラディを知ってるなら、彼女が従っていたラディールも知っているかもしれないと思った。
「名前は知ってるな。会った事はねぇけど」
ニールはそんな答えだった。ラークの不安気な表情に気づき、大きな手でポンポンと彼の頭を叩く。
「気にすんなって。ラークは元から変なんだろ? 多少なんか見えたってなんも変んねーって」
ニールの励ましに、ラークは少しホッとした様に微笑む。誰も自分を否定しない、人と違う自分でも構わないと言ってくれるのが嬉しかった。
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