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ラークの純粋にホッとした顔を見て、ニールは苦い顔をする。それは、以前会った時の印象と、ラディの狂気に、何があったのかを垣間見たからだ。
「んで、何の話だっけ?」
「ああん?」
ラークの問い掛けにニールは自覚している以上に深く考えていた事を知った。
「そうだ、ラディだったな。ラディがアンタを……」
ニールは話を始めたのだが、ラークの視線は宙を泳ぎ、何かを目で追っている様だ。
「オイ」
全く話を聞いていない彼に、ニールは苛立ちを隠さずに呼びかける。
「あ、ああ、ごめんな。こいつうるさくてさ」
鬱陶しそうにヒラヒラと手を動かしながら彼は言う。羽虫とかそう言った物ではなく、ニールには見えない何かだと言うのは解る。
「人の話は聞けっての。ラディとオレとはよ、昔からの知り合いだったんだ。んで、どうにかアンタに付きまとうのはやめろって言ったんだけど、これが聞く耳を持たなくてな」
はぁー、と深いため息を吐きながらニールは言う。
実は用事があるのだが、ラークのせいで話が進まない。見えている何かとどんな話をしているのか解らないが、そっちに気を取られ過ぎている。
「ニールにも立場があるし、もう済んだことだから良いよ。ホント、もう済んだ事なんだから」
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