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トラップをすり抜けたラークは、程なくして固まっている人々を見つけた。
「おお! ホントだ! スッゲー美人!」
救助を待っていたはずの観光客はとてもリラックスした状態で、ラークを見てテンションを上げた。
大喜びで走って来る人々に、ラークは思わず飛び上がり、木の枝に着地する。
「な、なんなんだ?」
思わず彼は呟き、真下で手を叩いて喜んでいる人々を見る。
観光客であることは間違いなく、露出が多かったり、ブランドの服を着ている人が多く、丸一日森の中に居たせいだろう、汚れたり破れたりしている。だが、それでもキチンと寝てキチンと食べた様子が窺え、その違和感にガルクも他のハンター達も言葉を失い、戸惑うラークが木の上から人々を見下ろしている様を黙って見ているだけだ。
「トラップ仕掛けたハンターはどいつだ」
混乱と戸惑いの中、レッヅが一人を捕まえてボソリと尋ねる。
「ん? あいつだ」
少年が指を差したのは、騒ぐ人々から離れ、一人疲れた様子で石に腰掛けている男だった。
年は二十代後半、身長は百七十前後。体格はやや良い方。服装は観光に行こうとしていたようで、軽装だ。日に焼けた赤い髪と浅黒い肌。垂れ目は茶だ。
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