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男の説明を聞いて、ラークは訳の解らない事態に混乱し、静かに腕を組んで考える。ガルクも同じで、観光客の余裕さと、この男の疲労感に納得は行ったものの、レッドドラゴンの行動の真意が全く読めない。
「そこにはレッドドラゴンしかいなかったのか?」
ボソリとラークは尋ねる。
本来ならば言葉を交わすのも嫌なのだが、事態を理解するのには少しでも情報が欲しかった。
「そうです。レッドドラゴンが十匹。それしかいませんでした」
疲労に目の周りに隈を作った男はそう答える。
「……とにかく、山を降りよう。協会の用意したバスがあるから、そこまで案内する」
原因の究明に頭を捻っている一同を見て、ブライトは提案する。
ラークを見て今だざわついている観光客が三十人もいると、集中できるものも集中できない。
「俺は周りを見て来る。後は任せた」
ラークは集団で動くことを拒否し、誰も止める間もなく歩き出す。ガルクもそれを理解して止める事もしないので、結局は誰も止められないのだが。
「……俺も、行く」
レッヅが呟き、ラークを追いかけて走る。
「レッヅ! おい!」
ブライトが止めようとしたが、彼は無視して走って行ったため、ガルクと顔を見合わせて苦笑いした。
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