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シャオオォォォォ……。と、その遠吠えが風に乗って聞こえたのは、レッヅが口を開こうとした瞬間だった。
レッドドラゴンの声だと知っている二人は、即座に声のした方に向かって走り出す。
だが、ラークの方が圧倒的に早く、レッヅはすぐに置いて行かれた。
ラークは川の側でレッドドラゴンが十匹、寛いでいる光景に出くわした。
多分、バスを襲ったドラゴンだな。なんだ? あの落ち着き方は。
のんびりと欠伸をしたり、バサバサと翼を軽く羽ばたかせたりしている様を見て、彼は自分が何か間違っているのではないかと思ってしまう。それほどまでに、この光景は異常だ。
一匹が彼を見つけるが、特に何をするでもなく、川で水浴びを始めた。
なんなんだ? 一体。何が目的なんだ?
彼は更に混乱するが、相手があれほどリラックスしているのなら、こちらも警戒しても意味が無いか、とあっさり警戒を解いて、スックと立ち上がり、レッドドラゴンに向かって歩き始めた。
彼の姿を見たレッドドラゴン達は驚いた様子で彼を見るが、彼は動揺を見せず、携帯した武器を抜くこともせず、ドラゴン達を見上げる。
赤い鱗に覆われ、翼を持った姿は、まさしく『ドラゴン』の名に相応しい姿だ。大きさは象ほどで、近種のグレードラゴンやブルードラゴンはある地方では家畜として飼われている。
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