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遠慮なく空を飛ぶドラゴンの背中にしがみつき、どうしたもんかなぁ、とラークは考える。
敵意はないし、観光客達にも怪我は負わせてない。と、なると彼的には討伐する理由が無くなっていた。目的が別にあって、その目的のために騒ぎを起こした、と言うのは間違いない。問題はその目的だ。
俺に用事があった。そんなところか? なんで俺に用事があるんだ?
ラークは思う。
確かに自分は他のハンターや人と違って、魔物という存在をイコールとして敵だとは思っていない。だからといって、Kランクハンターとして、数え切れない程の魔物を屠って来た事もまた事実。中には誤解や勘違い、誤って殺してしまった者も居る。怨まれる理由はすぐに思いつくが、招待される覚えはない。
そんな事を十分ほど考えていたラークだったが、ふと眼下を望み、人々が驚いた様子でこちらを見ているのに気づく。恐れている様子もなく、子供が興奮したように指を差している様子を見て、なんだか微笑ましく思って彼は笑う。
――あら、ご機嫌ね。
クスクスと笑いながら『風』が話しかけてきた。
「まあな。こういうのも気持ち良いなって思って」
風圧に飛ばされないように、ドラゴンの背中にしがみつきながらラークはそう答える。
――流石ね。ハンターキングは一般の人という事が違うわ。
からかう様に彼女はそう言って笑った。
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