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――なんでだっけ?
「異物がどうので、刺さっただか悪戯しただかで、放っておいたらあちこちの内臓にどうしたこうした、だった気がする」
相当にうろ覚えで、ラークは半ば適当に答える。取り敢えず悲惨だったのは解った彼女は、顔を引きつらせる。
――ああ、良いわ。なんだかこっちまで痛くなってくるわ。
彼女の様子に、ラークはそう言う物なのか? と首を傾げる。
「ありがとうってちゃんと伝えてくれたか?」
自分では行けないので、彼女に頼んでいた事を思い出し、問いかける。この身体を与えてくれた存在は、この星にはいない。
――ああ、忘れてたわ。
ケロリと彼女は言い、ラークは苦笑いする。
「それじゃあ、また頼むよ」
――うん。解ったわ。早速行って来るわねー。
風はヒラヒラと手を降って、空に浮かぶ魔方陣に向かって飛んで行った。
風は気まぐれだって言うけど、一年も忘れてたってどうなんだろう? ラークはそんな事を思いながら飛んで行く風を、ドラゴンの背中にしがみつきながら見送った。
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