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観光客達をバスに乗せ、ガルクは一息つく。
ラークと話がしたいだの、何が好きかだの、どこに住んでいるのかだの、下らない質問攻めににあい、後だとかわすと激しいブーイングにあい、流石にコレにはガルクも頭が痛くなった。
「お疲れさん」
何とかバスが発車したのを見送ってから、ブライトはガルクの肩を叩く。
「これからだってのにこんなに疲れたのは初めてだ」
がっくりと肩を落とし、ガルクはぼやく。ブライトは自分の坊主頭をペシペシと叩きながら大笑いする。
「あっはっはっは! ありゃ確かに辛いな! ラークが逃げたのも解るぜ!」
「あいつは人が多い所は避けるからな。そこまで考えてたのかは解らないけどな」
笑うブライトに、ガルクは更にぼやいてみせる。
「ああ見えて、ラークはあんまり考えて行動してないぞ?」
はぁ、やれやれ、とガルクはため息をつき、なんとなく空を見上げる。
「だからKランクになれたんだろ?」
笑いながら言うブライトの言葉に、ガルクは頷くしかなかった。何故だか妙に納得できたのもある。
「……あれ、レッドドラゴンじゃないか?」
羽ばたく音が聞こえてガルクが視線を向けた先に、赤いドラゴンが見え、呟く。ブライトも同じように見上げ、そうだな、と頷く。
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