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ブライトの言葉の数秒後、パァン! と発砲音が響いた。反射的に振り向いた二人が見たのは、空に打ち上げられた煙幕弾。
「無駄遣いするなよ!」
ブライトは文句を言うが、発射地点から煙を噴き上げる為、背の高い草に囲まれた状況ではとても有効な手で、それを頼りに二人はレッヅの元に急ぐ。
「ラークは何でドラゴンと一緒なんだ!?」
急ぎながらも、ガルクは心配のあまり声を上げる。レッヅからの反応はなく、イラッとして眉間に皺を寄せる。
ダメだこりゃ、とブライトは思う。自分達がキャロレイだという事が大きいのは解っているが、ラークの方がまだ人の話しを聞いていたし、話もした。ガルクは彼がいなくなるとすっかり人が変わり、彼の事しか考えていない節すらある。
「ラークは無事だ。ドラゴンは敵じゃない」
ようやく迷彩服を着た坊主頭の、目つきが危険なレッヅが高い草の中に姿を現し、彼はボソボソと伝言を伝える。
「……ドラゴンは少なくともラークに危害を与えない」
別れる前と表情が一変しているガルクを見て若干眉を潜め、レッヅは続ける。ラークが『怒らせると面倒』だと言っていたのを思い出したのもあるが。
ガルクはそれでもレッヅの話しを聞いていなかったらしく、詰め寄る。
「どうしてラークはドラゴンに乗ってるんだ!? 訓練されてないドラゴンが人を乗せて飛ぶのか!?」
胸倉を掴まれ、もはや喧嘩腰に言われ、何故こんな事をされるのか判らないレッヅは彼を睨む。
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