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その頃ラークはレッドドラゴンに周囲を囲まれて倒木に腰掛けていた。
空を飛んでいた時間は短いが、慣れない感覚に緊張したせいで、なんだか疲れて少しぐったりし、ドラゴン達は少し心配そうにしている。
「俺に何をさせたいんだ?」
はぁ、と疲労感にため息混じりにラークはドラゴンに尋ねる。とは言っても、彼らに言葉が通じる訳もなく、返答はない。
クルル、と小さく唸って甘えて来たり、疲れた彼を労わる様に腹を貸してくれはするが。
至れり尽くせりなのは良いんだけど、ガルク置いて来たのが気になるんだよなぁ。
ラークは肩を回しながらそんな事を思う。
彼が怒ると面倒なのは元からだが、怒る理由が変わってきていて、それがどうにも引っかかる。一年前からそれは如実になり、最初は『あの出来事』のせいで神経質になっているのだろうと思っていたのだが、今だに変わらないのは、別に理由があるのだろうか? と思う。
「面倒臭いなぁ」
ラークは思わず漏らす。確かにガルクは支配欲が強く、我儘だったり、高圧的だったりする事はあるが、それでも根は優しい。彼のよっぽど気に入らないことをしなければそんなに感情的になるような人ではない。
ドラゴンの腹に寄りかかり、腕を組んで目を伏せて考えて居たラークだが、暫くして考えるのが面倒臭くなって、ガルクの事は一旦置いておく事にした。
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