337人が本棚に入れています
本棚に追加
ラークは立ち上がり三メートルも身長のあるニールを見上げる。
成長したグリーンドラゴンの身長は約三メートル。頭から緩やかな曲線を描く二本の角は約十センチ。顔は細長く、多くの言葉を操る者ーー要するに喋れる者の特徴である分厚い舌以外は一般的な竜族と大きな差はない。
緑色の鱗に包まれた体は、大きさは倍近くあるものの、形は人間のそれと殆ど同じで、目立つ違いは指がとても長い事位だ。
「ニールが俺を呼んだのか?」
半分と少し位しか身長のないラークは、間近にまで近づかず、少し離れて話し掛けた。
ニールは、どっこらしょ、と地面に座り彼と視線の高さを合わせる。
「そうだぜ。オメーら全然来ねぇしよ」
ニールの爬虫類らしい瞳は、無機質でありながらも、どこか優しさがある。それは森の長としての労りの思いがあるからだろう。
「色々あったんだ。上手く説明出来ないんだけどさ」
ラークは視線を地面に落とし、一年前の事を思い出す。
自分の身に起きた事と、自分のしらない所で、悶え、喘ぎ、苦痛の中で生きて、そして死んで行った、沢山の会った事のない少年・少女達……。
「ラディだろ? 俺も会ったぞ」
ニールの意外な言葉に、ラークはハッとして顔を上げる。
最初のコメントを投稿しよう!