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10分ほど待ち、ようやく悠兎たちに順番が回ってくる。
悠兎が醤油ラーメン、十悟がAランチセット、愁香がカツ丼大盛りを注文すると、あっという間に注文した品がトレイに乗せられて渡された。
3人は食堂の中央付近に空いているテーブル席を見つけ、そこに腰を下す。
「そんなに食って良いのかよ。午後から動くんだぞ」
大盛りのカツ丼を食べようとする愁香に、悠兎が尋ねた。
愁香は昔からよく食べる方だった。
悠兎も比較的食べる方だが、その悠兎と同じぐらいの量を容易く平らげてしまう。
「だからこそよ。今のうちにしっかり食べとかなきゃ、へばっちゃうかもしれないじゃない」
「そんなもんかなぁ」
「そういえば、午後の授業って武器戦闘と魔法戦闘で分かれているらしいね。」
十悟が言う。
「そうそう。中学と比べるとかなり辛そうよね。しかも、武器戦闘は使用する武器で分かれるし、魔法戦闘は魔法属性で分かれるのよね」
「なんだそれ?」
「事前に配布されていた資料に書いてあったじゃない。さっき配布されたプリントにも書いてあったわよ」
悠兎がブレザーのポケットから乱雑に詰め込まれていたプリントを再び取り出すと、愁香は箸を動かす手を休めて顔をしかめた。
「ポケットになんでも適当に物を突っ込まない。何度も言ってるでしょ」
「わ、悪いって……」
謝りながら取り出したプリントを一枚ずつ広げてテーブルに並べていく。
4枚目のプリントに、午後の授業についての記載があった。
それによると、武器戦闘の授業は使用する武器によって、刀剣科、槍術科、格闘科、銃火器科、法具科、特殊科の6つに、魔法戦闘の授業は、固有属性――火、水、木、地、雷、風の6属性に分かれるようだ。
「あぁ、そういやこんなに分かれるんだっけか」
「強くなっていけるような気はするけど、なんだか寂しいね。でも、3人とも同じ刀剣科だからまだ良いかな。」
十悟の言葉に、悠兎は合格通知書と一緒に送付された能力診断書を思い出す。
確かそこには刀剣科と書かれてあった。
悠兎はオーソドックスな両手剣を、愁香は女性がよく好むレイピアをそれぞれ使用するが、十悟はバトルアックスと呼ばれる戦闘用の斧を使用するため、十悟も刀剣科に選ばれたと知った時は3人で喜んだ。
ただし、魔法属性は3人ともバラバラなため、一緒になることはないだろう。
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