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次の日、鏡子さんは事務的な連絡を各所に確認していて忙しく、私は三葉の遺体と二人だった。死装束を纏う三葉の服を私はゆっくり脱がせた、水泳部で鍛えられた体は死んでからもなお美しかった。私は持参したデジカメで三葉の全てを写真に撮った。悪趣味だ…死体写真コレクターと同じように私はここにはなにかないか、この裏側はどうだろうかと普段ではみえない部分も含め写真に撮った。
急いで服を着せている最中に鏡子さんは帰宅してきた、胸元の紐をしばり終える前に部屋に入ってきて
私の心臓はドキドキしていた。
『三葉の体、鍛えられて綺麗よね…。触れても温もりはなかったらでしょ?』と鏡子さんが訪ねてきた。幸い恋人同士の最後の別れに体に思わず触れてしまったと思っているらしい。
私は思うように動かない三葉の体の足を持ち上げたり指のあいだまで確認したのに…優しい言葉をかけてくれる鏡子さんに胸が苦しくなる
鏡子さんは3年前に旦那さんと別れていた。旦那さんは会社の社長の娘と不倫の末、あちらに赤ちゃんが生まれる事になった。鏡子さんも結婚する前に勤めていた会社だったそうだ。
慰謝料に、新築の一軒家と、三葉の大学までの学費に月に30万もの振込がもう2年続いている。社長令嬢との再婚は上手く行っているらしく、いままで鏡子さんとは感じれなかった愛を感じるのだと旦那さんは言っていたらしい。
こんな一軒家に一人…
誰もいなくなった家に一人…
鏡子さんから浮かれた話は効かない…美人で年齢より若くみえるし、色気のある女性だ。一度透子が、『あの人はバイセクシャルだと思う』と言っていたが確かに女性からみても魅力的だ。
母親以上に私を大事にしてくれたのは三葉の彼女だからなのか、それとも…
いや今は考えるのは止めておこう
それより三葉のタトゥーだ。鏡子さんは知っているのだろうか。
『ねぇ、私ね、涙が出ないの…三葉が死んだのに…なんだかまだそこにいそうで、逆に怖い気持ちもある…夢半ばで死んでしまって…さ迷い続けるんじゃないかって…』
鏡子さんは回りをキョロキョロと見回り、私の手に触れた。
『この子はなにか秘密があった…私にも』
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