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カツカツカツ
この地の独裁者が、長い長い廊下を歩く音がこだまする。
独裁者と言うぐらいだからいつもは独りなのだが、今日は一人ではなかった。
コツコツ…
もう一つ、足音が聞こえる。
独裁者の男にひっついて離れないように、少し急ぎ足の小さな黒い少年。
「あの…」
小さな黒い少年は独裁者にそぉっと話しかけた。
「何ですか?」
独裁者は振り返り、ケタケタ笑って相手を見、足を止める。
「どこに行くんですか?」
「独裁者である我輩の部屋、作戦を立てなきゃだからね?さ、入って」
自ら独裁者と名乗った男は、振り返ったまま何歩か歩いた場所の部屋の戸を開け言った。
「はい…」
黒い少年は言われるがままに入った。しかし、素直な行動とは裏腹に、内面は独裁者に対する疑問でごった煮になっていた。そうするうちに思いがぶくぶくと膨れ上がり我慢が出来なくなる。
「どうしてオレを拾ったのですか?」
黒い少年の一つ目の疑問。
「可愛いから」
さくりと答えて、黒い少年を抱き上げ、椅子に座らせる。
「オレが黒神だって、死を運んできたって…知って拾ったんですよね?」
椅子に座りじっとしながら二つ目の疑問をぶつける。
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