★独裁者に哀れみを

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カツカツカツ   この地の独裁者が、長い長い廊下を歩く音がこだまする。   独裁者と言うぐらいだからいつもは独りなのだが、今日は一人ではなかった。     コツコツ…   もう一つ、足音が聞こえる。 独裁者の男にひっついて離れないように、少し急ぎ足の小さな黒い少年。   「あの…」 小さな黒い少年は独裁者にそぉっと話しかけた。 「何ですか?」 独裁者は振り返り、ケタケタ笑って相手を見、足を止める。   「どこに行くんですか?」   「独裁者である我輩の部屋、作戦を立てなきゃだからね?さ、入って」 自ら独裁者と名乗った男は、振り返ったまま何歩か歩いた場所の部屋の戸を開け言った。   「はい…」 黒い少年は言われるがままに入った。しかし、素直な行動とは裏腹に、内面は独裁者に対する疑問でごった煮になっていた。そうするうちに思いがぶくぶくと膨れ上がり我慢が出来なくなる。   「どうしてオレを拾ったのですか?」 黒い少年の一つ目の疑問。 「可愛いから」 さくりと答えて、黒い少年を抱き上げ、椅子に座らせる。   「オレが黒神だって、死を運んできたって…知って拾ったんですよね?」 椅子に座りじっとしながら二つ目の疑問をぶつける。
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