アジト

5/7
前へ
/17ページ
次へ
龍が「八条、九条あたりの飲み屋は不法滞在者がいて危険でしょう」 「何人かすぐに駆けつける体制をとる。心配するな」 「僕が死んでも解剖だけはしないで下さい」 「ん……、お前、まさか……包茎か?」 龍の顔が真っ赤になった。 「自分で皮を切っとけ!」 菅野が壊れるくらいに笑いをこらえている。 ヒロがそれを見て「菅野、お前が死んだらきっちり解剖してやるからな」 「どうぞお好きに……」 「体に自信有るんやなあ」 「死んだら、もう終わりでしょう。煮るなり焼くなり好きにどうぞ……」 「女は強いな。男は死んだ後も自分のチンチンを心配する」 菅野が携帯を掛けている。 龍がヒロの耳元で、「麗子さんはどうしたんですか?」 「今回、相手は武装集団や家に帰らせた」 「そうですか」 「明日のパリ行きは中止ですか?」 「早めに奪回できれば行く、飛行機で寝とけば疲れも取れるやろう」 「ハードスケジュールですね」 ヒロは腕時計を見た。 11時10分を指していた。 「後、11時間か……きついなぁ」 菅野が「ヒロさん、裏手の方に車が来ます。龍さんが先に出て下さい」 「裏手?」 「敵も衛星を使ってるようです。用心しないと……」 「俺たちは?」 「特定されないように、八条、七条近辺をうろうろするしかないです」 「それやったら、龍が襲われたら間に合わんやろう」 「それなりの女性ですから、10分は耐えます」 「何者や?」 「ボンバーエリカと言います」 「爆弾エリカか」 「爆薬のプロです」 「おまえらおもろい奴ばっかりやの」 「龍、楽しんでこい」 龍がジャンパーの中に防弾ベストをつけた。 「あっそれと今日の報酬は?」 「BMの新車買ってやる」 「いいですね。私たち一日10万で命を張ってます」 龍より菅野の方がいち早く反応した。 「絵を奪回すれば俺が倍付けしてやる」 「ヒロさん!ほんとうですか?」 「ホラは吹くけど、嘘はつかん」 「よろしくお願いします」 菅野の顔色が好意の色に変わった。 「現金なやつやな、龍行け」 「……」 「裏口は?」 「こっちです」 佐々木が案内する。 龍が渋々、裏口から出て行った。 ヒロと菅野はベンツに乗り。後の組員は、コンテナに乗った。 菅野はヒロが金を持っていると知ってか、ヒロに体を寄せて、「ヒロさん、最近、組に入ったんでしょう。それも会長のドラフト1位指名で……」と艶のある声で話す。
/17ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加