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龍が「八条、九条あたりの飲み屋は不法滞在者がいて危険でしょう」
「何人かすぐに駆けつける体制をとる。心配するな」
「僕が死んでも解剖だけはしないで下さい」
「ん……、お前、まさか……包茎か?」
龍の顔が真っ赤になった。
「自分で皮を切っとけ!」
菅野が壊れるくらいに笑いをこらえている。
ヒロがそれを見て「菅野、お前が死んだらきっちり解剖してやるからな」
「どうぞお好きに……」
「体に自信有るんやなあ」
「死んだら、もう終わりでしょう。煮るなり焼くなり好きにどうぞ……」
「女は強いな。男は死んだ後も自分のチンチンを心配する」
菅野が携帯を掛けている。
龍がヒロの耳元で、「麗子さんはどうしたんですか?」
「今回、相手は武装集団や家に帰らせた」
「そうですか」
「明日のパリ行きは中止ですか?」
「早めに奪回できれば行く、飛行機で寝とけば疲れも取れるやろう」
「ハードスケジュールですね」
ヒロは腕時計を見た。
11時10分を指していた。
「後、11時間か……きついなぁ」
菅野が「ヒロさん、裏手の方に車が来ます。龍さんが先に出て下さい」
「裏手?」
「敵も衛星を使ってるようです。用心しないと……」
「俺たちは?」
「特定されないように、八条、七条近辺をうろうろするしかないです」
「それやったら、龍が襲われたら間に合わんやろう」
「それなりの女性ですから、10分は耐えます」
「何者や?」
「ボンバーエリカと言います」
「爆弾エリカか」
「爆薬のプロです」
「おまえらおもろい奴ばっかりやの」
「龍、楽しんでこい」
龍がジャンパーの中に防弾ベストをつけた。
「あっそれと今日の報酬は?」
「BMの新車買ってやる」
「いいですね。私たち一日10万で命を張ってます」
龍より菅野の方がいち早く反応した。
「絵を奪回すれば俺が倍付けしてやる」
「ヒロさん!ほんとうですか?」
「ホラは吹くけど、嘘はつかん」
「よろしくお願いします」
菅野の顔色が好意の色に変わった。
「現金なやつやな、龍行け」
「……」
「裏口は?」
「こっちです」
佐々木が案内する。
龍が渋々、裏口から出て行った。
ヒロと菅野はベンツに乗り。後の組員は、コンテナに乗った。
菅野はヒロが金を持っていると知ってか、ヒロに体を寄せて、「ヒロさん、最近、組に入ったんでしょう。それも会長のドラフト1位指名で……」と艶のある声で話す。
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